[曰く、俺もいい年なんだからそろそろお嫁さんをもらった方がいいとか、俺の父親も早くに死んだし母親も一昨年死ぬまで俺のことを心配していてだとか]
あー、はは、はい、えー
[生温い笑顔と返事を返せば返すほどマシンガントークは止まらなくなったかのように続き、気づけば奥さん方の突発井戸端会議場になっていた。肉の卸売業者である狩人としてはどうにも止められないし勢いも止まらなさそうである。井戸端会議怖い]
「それでうちの娘、いるでしょう?フィリップ君がお父さんのお手伝いをするまでは遊んであげてたカトリーナ。覚えてる?」
あー、はい、まあ…
「若い子は顔見知りの方が良いと思うし、考えてみてちょうだい!」
[そう言って渡された物を受け取ると同時、井戸端会議は解散の気配である。なぜなら日は傾いて辺りは薄暗く陰り始めた時分。台所を司る奥様方としてはここが外に出歩いておしゃべりのできるリミットなのだろう。肉は全部お買い上げしてもらった代わりに手の中にある二つ折りの冊子]
(12) 2018/03/10(Sat) 02時頃