[大時計の鐘が鳴る。>>#0
サイモンの傍らで執事とのやり取りを聞いていたオーレリアは、二人の会話の内容が飲み込めずに呆然と立ち尽くしていた。>>1]
……、ハワードさん、
一人、多いって……、 それ――
[声を潜めて聞き返そうとしたところで、予想外に手短に済まされたサイモンの挨拶にそれは打ち切られる。
驚いて振り向くと彼はもう立ち去ろうとしているところで]
!? あなた……!?
もう、お休みになられるのですか?
[戸惑いおろおろと夫とハワードを見比べたオーレリアは、ちら、と義理の息子――カルヴィンの方を一度見て、]
皆様っ、本年もどうぞ宜しくお願いいたしますっ……
[招待客らへ深々と一礼し、
「後は頼む」、とばかりに最後に縋るような視線を執事に送ってから、サイモンの後を追って足早にホールを出た。]
(5) 2019/01/01(Tue) 02時頃