[途切れがちな檀の言葉は>>94、六嶋の眉をより神経質に顰めさせる事となっただろう。
眼鏡の硝子越しに俯いた檀の、切り下げた髪から覗く首が嫌に白く見えるのは、書庫に差し込む朝の光のせいか。
続いた言葉に、眉間の皺はなお深く刻まれる。
その現場を既に目の当たりにしたワレンチナから、更に状況を接がれることはあっただろうか。]
それで、もうスタッフは呼んだの?
[それほどの怪我をしているならば、治療が必要だろうと。至極「真っ当な」応えを返す。
犀川が、何らかの理由で大怪我を負ったなら、親しいらしい呉羽のあの悲鳴も頷けはするが、そんなに酷い怪我なのだろうか。
此処に棲まうものならば、誰しも一度は血の洗礼を潜りはしても、まさかその血肉を啜るものが、この舎に居るなど、未だ考えもしていない。
此処は害獣から身を護る、家畜舎なのだから。]
(99) 2017/04/05(Wed) 00時頃