お…ま…
[振り向きざまに、握りしめたままの、初野の血と脂に塗れた骨切鋏を振るうが、切っ先は届くことがあったろうか。]
おま…なんで…やっぱり、「フォーク」…
[「フォーク」?いや、「フォーク」は、初野は自分が殺した。2人居た?まさか。でも。ごぶり、と口元から何かが溢れた。熱い。いつもの生温い吐瀉物ではなく、それは鮮烈な程赤く。
瑠東の切っ先は、肋骨の合間を縫い、肺を貫通していた。
混乱した表情は、成長を屈めた体躯の、いっそあどけなささえ見せたかもしれないが、次の瞬間、憎悪に塗り潰される。
「フォーク」だろうと。「ケーキ」だろうと。殺される前に、殺さなければ。
伸ばす腕。こいつ、こんなに背が高かったっけ…?
崩れていくのは自分の脚。そうして床に倒れて、血溜まりを広げながら、細い息を、細待っていくだけの息を、ただ漏らしている。]**
(47) 2017/04/10(Mon) 00時頃