[そこでようやく後ろを振り返る。
副船長を抱えあギリアンが、いつもと同じような顔で上ってきていた。何度か落としたような音も聞こえたが、死体は文句を言わない。
船尾に向かう背中を見送り、誰かの忘れ形見であるナイフを蹴り飛ばした。血まみれのそれはよく滑り、そのまま海に落ちたが、耳をすましても水音は聞こえなかった]
………ああ、 なんでかな
[斧を持って人を待つのはなんだか居心地が悪くて、ピストルと位置を換えることにする。斧よりずっと軽いそれは、手ごたえなしに人を殺すことが出来る]
俺が人を殺す日は、青空ばっかりだ
[記憶に残っているからか。
天気が悪い日の襲撃には、濡れるのを嫌がって参加をしないからか。
―――そう、理由なんてわかっている。
二つの何かを結び付けたがるのは、いつだって思い込みに過ぎない]
(18) 茄子 2019/03/22(Fri) 22時半頃