268 Werewolves of PIRATE SHIP-V-
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[目の前の男が何かを喋っている。
視界は昏く、血色で、輪郭は滲み、世界は曖昧で、
聴覚は潮騒で満ちて耳鳴りへとなり空虚に響く。
もう呼吸をするのですら億劫となりながら、
唇の動きを辿ればどうやら男は罵っているらしい。
苛立ちも露に何もかもを責め立て、
分かり合えるはずもないと真実を言いながら、
その実、言葉を綴っている裏腹な男]
(……医者は、殆ど残っていないのに)
[獣を抑え込む苦痛に削がれ続けながらも、
やるべきことを掲げ、最期までそれを貫き通して。
限界まで自己を削り尽くしたのだから当然の如く、
残されたものなど、僅かでしかない。
何も思い残すことがないなどあろう筈がなかった。
あれの内に潜んだ獣だから知る抱えていた絶望を、
結局の所、死ぬことでしか癒せない結末では。
何も救われていないことを良く知っている。
獣と混じっていながら人間でありたかった医者の、
抱いた願いを……少なくとも、“自覚”している]
[――人間ではないのに。
人間に届けられた言葉が支えた願いは打ち砕かれて、
その友を殺した契機に自ら死へ駆け出した医者が、
救われた何かがあるとするなら。
背に届いた、あの言葉。
病を自覚しその病を罹患している己を厭い、
人嫌いで通した人間の背に、届けられた言葉だ。
人は言われなければ何も伝わらない。
想われても、思っても、
見守ってくれる者がいたとしても、
同じ悩みを抱えていたかもしれなくても。
あの泣きじゃくる医者見習の言葉は、
確かに、“自覚”へと響いてしまっている]
……ふ
[そんな思考しているうちに、
己を殺す人間の言葉は終わったらしい。
そう、全てはもう、終わっている。
やり残したことをやり遂げて、
獣が狩りをするには力の失せた身体を残し、
あの医者の残滓は、漣一つで攫われてしまう程度]
[のろりと顔を上げ、“そこ”を見た。
――海への入り口。漸くの終わりの場所。
血肉を憶えて覚醒した筈が、
獲物としか思えなかった人間に抑えつけられて、
その人間の意志が消えてもこの身体にもう力など無く、
であるならば、最期くらいは獣らしく]
他人の思い通りが、気にくわないか。
ああ、そうだろうな……うん。
[肩を震わせ唇を吊り上げる。
終わりの場所まで足を引きずるように歩き、
銃口を向けられてもその言葉に嗤うかのように。
案外、気が合うじゃないか人間。
獲物でしかなかったはずの人間と気が合うなど、
おかしいにもすぎるが、事実でしかない。
あの医者は仲間を守ろうとした友に殉じた。
自ら幕を引き人に獣を殺させまいとしていたが、
その思い通りにしてやるなど気に食わない。
腰掛けろと言われたが無視をして、
喉を震わせ、獣らしく悪辣に嗤ってやるのも精一杯で、
どちらかといえば無理をしているような様相だろうが]
確かに。
ひとり勝ち逃げさせるのは気に食わないよな。
[銃を向けられ嗤う獣の意図は恐らく伝わるまい。
眼前の男が“医者”を殺したいのだったなら、
これこそが人間への反撃だが、言葉にする意もなく]
[ 銃声が響くその刹那まで、紅い瞳は逸らさずに **]
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