252 Survivor's Guilt 未亡の民と永遠の呪い
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――一人が二人になってから――
俺も誰かとこんな風になるとは思っちゃなかったわ。
[己の存在は、他人を煩わせるものだと思ってきた。 ブローリンの知識も仕入れず、文字も読めない。 怪我で自警団も辞めざるを得なくなって、人を護ることもできない。 だというのに周りは手を差し伸べてくる。生きるのに不自由はしない。仕事もある。受け入れられている。 それが、苦しかった。何も考えずに生きてほしいと、思っていた。 所帯を持てば、負担をかける相手が増える。そんなことをするはずじゃあなかった。
今は、違う。こんな自分でも、こんな自分を、欲してくれる相手がいるのなら、今与えられる限りのすべてを、彼女にやりたい。]
(21) mmsk 2018/03/18(Sun) 16時半頃
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[くちづけを交わして、空き家に辿り着く。 古びてはいるが、丁寧に管理された家だ。 家族が増える、と聞いて笑った。そんな夢も叶えばいい。]
……なら、今からここが俺の新しい家かね。
[家を出ることにした、と告げたはずだ。 その意思をまだ家族には伝えていないけれど、理由としては充分足りる。 明日になったら、ブローリンの家へ戻ろう。そして、今まで抱えていた思いも何もかも洗いざらい告げて、この家に帰ろう。 ワンダとの話も出てくるだろうが、後々でいい。]
(22) mmsk 2018/03/18(Sun) 16時半頃
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[焼かれたケーク・サレ、干し肉とミルク。 ささやかな夕食が、食卓に並んだ。 略式の祈りを捧げて、口に運ぶ。途中口元にケーク・サレが運ばれたのには戸惑ったが、勢いで食らいついてやった。 何を求められても、叶うことなら答えよう。 話もした。これまでのこと、これからしたいこと。 薬が効いて、セレストの瞼が落ちてくるまで。]
……なあ、連れて行かないで、やってくれよ。
[眠るセレストを抱き、背を撫ぜる。 セレストとは、月の意味があるのだと聞いたことがある。 月の光に誘われて眠る彼女が、そのまま月に昇っていかないように、夜空にそっと声を掛ける。 その夜は、眠れなかった。]
(23) mmsk 2018/03/18(Sun) 16時半頃
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[空は紫を越えて白み、青く染まる。 朝が来る。腕の中の身体は、温かい。 けれど己の体温をどれだけ懸命に移しても、ついぞ目を覚ますことは、なかった*]
(24) mmsk 2018/03/18(Sun) 16時半頃
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――闇が晴れる――
[朝の日を受けながら、昨夜の言葉>>37を思い出す。 夫婦なら子供のことを考えるのも、当然の流れだろう。 ブローリンにも跡継ぎが必要だ。兄貴に任せられなくなった以上、それは俺の責任になる。 二人の子供が喧嘩もしながら成長する未来を想う。 子を連れて森に行こう。それほど奥には連れていけないが、野うさぎが跳ねて栗鼠が駆けるのを見せるくらいはできるはずだ。 木苺と沼すぐりの茂みに入って籠いっぱいに摘んで帰ろう。砂糖と煮詰めてジャムにして、パンを焼こう。 自身の子供時代をなぞるような空想。それはとてつもない幸福に思えた。 ――今はもう、手に入れることのかなわない幸福だ。]
(42) mmsk 2018/03/20(Tue) 01時頃
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[ひとまずは、セレストをベッドに寝かせたまま家を離れる。 報告しなければならない人がいる。 宴の夜手探りで訪れた小ぶりの家は、今やセレストの母が娘の帰りを待つばかりだ。 扉を叩く手は迷いが出るが、今如何に迷ったところで現実は変わらないと己に言い聞かせる。
セレストの母に、真実を伝える。 そして彼女の眠る家に、母を連れて行った。 泣き縋る姿に、何も言えはしない。 昨晩交わした誓いは、問われぬ限り伝えないことにした。 あまりに突然が過ぎるだろうし、精神的にも負担になりそうだ。]
(43) mmsk 2018/03/20(Tue) 01時頃
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[暫し母娘を二人きりに、再び家を離れる。 今日発症した村人が他にいないか、探しに行った。 自警団の手を借り、村じゅうをくまなく調べる。 同時にオーレリアの最期も知った。覚悟をしていたのもあるし、ただただ疲弊していたのもあって、そうか、と呟くことしか出来なかった。
唯一喜ばしかったことと言えば、今朝は誰もいなかった、ということだけだ。 発症した人数から考えても、流行期は終わったと言っていいだろう。自警団の詰め所でその報告を聞き、強烈な脱力とともに椅子に背をぐったりと預けて天井を仰いだ。 終わった。――終わった。 考えたところで詮ないとわかっていながら、どうして昨日そうなってくれなかったんだと、やり場のない怒りが脳内をいっぱいに占めた。]
(44) mmsk 2018/03/20(Tue) 01時頃
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[ゆっくりと、森を上っていく。 ワンダに報告することが多すぎる。 今回の流行期は終わったらしいこと。 魔女の右腕だったレオス・ブローリンは目覚めなかったこと。 今回生き残ったのは己だけだったこと。 これからの、ブローリンのこと。
この流行期を超えてしばらくは発症者が出ないだろうにしても、魔女の薬はいずれ必要になる。 だが、己には魔女の腕になるための知識もなく、森に潜って様々の植物や好物を見分けるには視力も乏しい。 早急に、誰かをあてがう必要があった。]
(45) mmsk 2018/03/20(Tue) 01時頃
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[不幸中の幸いにして、向こうの集落にいる従兄――親父の姉貴のガキだ――のディーンが、教会のもとで真面目に勉学なんぞをしていた上に、今のところ発症もせずに村長の側で働いているらしい。 奴自体はもう"ブローリン"ではないが、血は持っている。加えて最低限の学がある。 今後のために、本家筋にならないかと交渉することになった。つまり従兄を養子に取るということだ。 断られなければ、ワンダの次の手足になるのは彼になる。昔に会ったままならちょいとばかし細っこくて神経質なのが玉に瑕だが――まるでどこかの布屋の兄みたいだ――生真面目だしよく働くだろう。
ちょうど魔女の娘も薬を学ぶ時期らしい。合わせて二人とも知識をつければいい、というのが、親父とおふくろの意見だった。]
(46) mmsk 2018/03/20(Tue) 01時頃
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[別れの苦しみを乗り越えて、この村の住人は生きてきた。 今回の被害も甚大ではあったが、それでもとんとん拍子に様々が進む。 まず、流行期の終わりを期に、葬式がしめやかに行われることになった。残された村人が一同に集い、神父の祝詞を聞いている。 涙を落とす村人の中に立って、俺は一人迷いながら空を見ていた。
もし、ディーンがブローリンの跡を継ぐとして、己は何を成すべきか。外に出るのは、考えにくい。 呪いを越えたとて、この目が治ったわけでもない。未知の世界では生きていけないだろう。 それに、このままブローリンを途絶えさせるわけにもいかない。いかないが――セレストは、今そこに眠っている。]
(47) mmsk 2018/03/20(Tue) 01時頃
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[野うさぎを追う子も、木苺を摘む子も、ここにはいない。]
(48) mmsk 2018/03/20(Tue) 01時頃
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[くそ、と遅きを悔やむ声が出た。 パティの隣で、ゾーイが不安げにしている。村の空気に中てられたのだろう。 彼女はクロックフォードの家柄もあってか、俺と大して変わりやしないのにあれだけの子がいる。
もし、もしだ。俺がもしセレストの想いにもっと早く気付けていたなら、今頃はブローリンの直系の、幼い子がいてもおかしくはなかった。 今となってはまったくの無意味なもしもだが、それを願っている俺がいた。 滑稽だ。一度想いを通じてしまえば、これほど愛しいのに。 このクソ野郎は今まで、何をしていたんだ。]
(49) mmsk 2018/03/20(Tue) 01時頃
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[墓穴が掘られ石工の作った墓石が乗り、村人の人数の確認が行われる。 空いた家の荷運びが始まれば、塞いでいるわけにもいかない。むしろ無意味な渦に陥りがちの思考を止めるのに、仕事をするのはちょうどよかった。 一部の家具は解体され、資源として使う。欲しいものがあれば、それぞれ村人に分け与えられる。 いくつもの分与が行われて、そして最後に、祭りの夜が来た。
春祭りだ。花の咲くのを祝って、ワルツを踊る。 流行期が終わったばかりだが、祭りは行うことになった。 沈んでいても希望が逃げるのを、肌で知っているようだった。 娘は踊り、大人は酒を飲み、灯りをつけて夜を明かした。 よい踊りを見せた少女の結い髪には、村人が次々に花を飾る。 その数が今年一年の、少女の誇りになる。 来年はもっと多く、いいえあの人から貰うのよ、と口々に言い合う。 そうして人々は、希望を抱くのだ。]
(50) mmsk 2018/03/20(Tue) 01時頃
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[やがて。 あの日から五度の冬が過ぎ、六度目の春が来た。 生真面目な兄貴は、その気質できっちりと正確な仕事をこなす立派な採集人になった。
俺はといえば、あの夜を過ごした家にそのまま住んでいる。 ブローリンの家族は未だに健在で、四人家族が暮らすには手狭だからだ。 息子がまた森の藪で頬に傷を作ったので、薬を塗る。手伝いたい盛りの娘が、台所で飛び跳ねている。 まだ沼すぐりの時期には早いが、兄貴から分けてもらったサルナシを煮詰める甘い匂いが、家の中に立ち込めていた*]
(51) mmsk 2018/03/20(Tue) 01時頃
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